西成区役所前に建立された「西成区顕彰碑」

西成区顕彰碑(2018年11月)

2018年11月上旬、西成区役所前。何やら真新しい石碑が。上にはカバーが掛かっています。

カバーが掛かった状態の石碑

11月下旬に再び通りかかると、カバーが外されていました。

西成区顕彰碑(2018年11月)

西成区顕彰碑

「西成区顕彰碑」。

2018年11月18日に除幕式がおこなわれたそうです。

碑文では、「西成」の地名の起こりについて、また現在の西成区の北東部から浪速区にかけての地域にあたる今宮村の「二大奉仕」についての解説文が記されています。

19世紀の西成郡今宮村の地図

19世紀の西成郡今宮村の地図(出典:ネット配信番組「Akiras Bar」第29回)

今宮村の二大奉仕

かつての今宮町がまとめた歴史書「今宮町志」では、今宮村の「二大奉仕」は「朝役」と「神役」だと紹介されていると、碑文に記されています。

「朝役」は、古代・中世の今宮村は浜辺の村だったことを背景に、村の浜で取れた魚介類を朝廷に献上する役割を担っていたということだそうです。

また「神役」は、京都の八坂神社でおこなわれる祇園祭の神事に、村人がみこしの担ぎ手として奉仕していたということだそうです。

碑文には記されていませんが、弘治年間(1557年)に後奈良天皇から村に対して、長年の大鯛献上に対する感謝の文書が出された故事もあります。西成区内にある弘治地域(大阪地下鉄花園町駅・花園交差点周辺)の地名は、かつて創立順の番号で名付けられていた小学校名について、番号での名前をやめて、地元の地名などを取り入れた名称へと一斉に変える方針が出された際、かつての今宮第一小学校について、この故事から引用する形で、感謝の文書が出された当時の元号・弘治からとって「弘治小学校」と名付け、小学校の校区を指す地域名にもなったとのこと。弘治小学校は統廃合でなくなりましたが、連合町会の名称として地域名が残っています。

歴史豊かな地域

碑文では今宮村のことが中心になっていますが、南部の勝間村(現在の岸里・玉出・千本)、西部の津守村(現在の北津守・津守・南津守)、北西部・中西部から浪速区にかけての木津村(現在の長橋・松之宮・梅南・橘など)、東部から天王寺区・阿倍野区にかけての天王寺村(現在の山王・天下茶屋など)と、現西成区の区域にはそれぞれ豊かな歴史があります。

西成の地名が起こってから約1300年、長い歴史を持つ地域です。

しかしながら、一部の悪意をもった者の悪宣伝や、それに惑わされた人たちの勘違いで、西成の地名を「ここ数十年の、新今宮周辺の狭い地域で、よそから流入した特定の人たちによる、特定のネガティブな現象」(しかもその現象は、産業構造・労働・社会福祉などから総合的に解決が図られるべき広域の課題であり、「西成区の地元の人が何かおかしなことをしている」扱いでは解決できない)だけと同一扱いされ、区内全体が何かおかしな地域呼ばわりされるのは、極めて遺憾なことです。

そもそも「西成区の地名にネガティブなイメージをつけているもの」は、歴史的には西成区発祥や西成区固有のものではなく、都市の発展に伴って生じた大阪広域の課題であり、現在の行政区だと浪速区や中央区に相当する地域から当時郊外だった新今宮付近に移されたものです。

大阪市内やその近郊ならどこに移ってもよかったはずのものを、たまたま歴史的に現西成区域の北部のごく一部になっている場所に移ったからといって、その現象を面白おかしく言い立てる代名詞として「西成」呼ばわりされたうえ、他区と同様に普通に暮らしている住民にしわ寄せがくるのは許しがたいことです。

「西成区顕彰碑」は、「歴史上、天下に対する大きな誇りと名誉を作り上げてきた先人の遺業を讃えるため」に建立したと記されています。

西成区の地域に関係する人は、歴代の市議や住民団体などをはじめとした多くの人が、《地域の人が暮らす街》という観点から街づくりを図り、また近年不当に押しつけられてきたネガティブイメージの払拭・解消を求めてきました。

歴史的観点から見れば、西成の地名が不当に貶められることも、また不当に貶める前提から出発している維新政治の「西成特区構想」も、ありえないことです。

おかしなことを言っている人たちによる風評被害をなくすための方策の一つとして、歴史に学ぶことも重要です。

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