大阪市にはかつて「赤バス」と呼ばれるコミュニティバスが走っていました。主に行政区内で、区役所や鉄道駅などの主要施設と、住宅街を結ぶ役割を果たしていました。
2000年に運行が開始され、2006年にはすべての行政区で運行されました。
当時、通常の路線バスの乗車料金は200円でしたが、赤バスは半額の100円で乗車できました。
初期に導入されたのは、スウェーデンからの輸入車の「オムニノーバ・マルチライダー」という車種です。当時は、小型バスについては輸入のほうが安いという事情もあったようです。
2005年前後の路線拡大に伴い追加された車種は、同じく輸入車のベンツのスプリンターでした。
2012年、古くなった車両を置き換えるために導入されたのは、日野・ポンチョでした。2010年代に入ると、国産の小型バスも作れるようになっていたとのこと。また当時は赤バス廃止も検討されていた時期で、一般車の路線にも転用できるようにも考慮していたとのこと。
赤バスは小型車の特性を活かし、今までは通常のバスでは入れなかったような路地にも積極的に路線を設定していました。
しかし赤字が慢性化しているとして、廃止を求める意見も上がりました。
当時の平松邦夫市長のもとでは、廃止の方針も視野に入れながらも、路線の見直しなどできる限りのことをしてから判断しても遅くはないとして、収支改善のための見直しなどもおこなってきました。
しかし橋下徹市長が就任した際、改善の目標値に届かなかったとして、2013年3月限りでの機械的な廃止を打ち出しました。中には、路線見直しで利用者が伸びたものの、設定目標をわずかに下回ったとして機械的に扱われるケースもありました。
大阪市会でも廃止反対の要望などもあったものの、赤バスは2013年3月31日で廃止されました。
一部の路線は一般バス路線に変更して運行されたものの、200円に料金倍増することになりました。
また区役所が独自に代替路線を設定するケースも有りましたが、1~2年限りの時限措置で、しかも便数大幅減少、事前に届け出た障害者や高齢者のみに利用者を限定、バリアフリー対応の車両ではない通常のマイクロバスやワゴン車などを充当するなどの問題も生じました。